残業時間を削減した取り組み事例やユニークなアイデア7選

残業時間を削減しようと考えても、いきなり良いアイデアは出てきません。この記事では、業務効率化して残業削減に成功している企業の事例、ユニークな対策、社員の意識を向上させる方法などをご紹介します。異なる業界での成功事例が、自社の取り組みのヒントになるかもしれません。
参考:財務省関東財務局『生産性向上・人材投資事例集』(平成30年2月発行)
「第三者の視点」が業務効率化を実現させた事例
無駄に仕事をしてしまっていることが、残業につながっていることは多々あります。しかし、それが無駄であることはなかなか気づきにくいものです。「第三者の視点」を活用してアイデアを見つけ、残業時間の削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
《事例1》株式会社一の湯「異業種の視点で ”やめる仕事” を発見」
人時生産性(※)が、1,400円程度から5,000円程度に改善した旅館の事例紹介をします。
この旅館では、海外の異業種の視点を取り入れ「やめる仕事の発見」と「省力化できる取組み」を実施しました。例えば、各部屋での食事や布団敷サービス、冷蔵庫での飲み物販売等を廃止、下足番をなくしたり、案内表示を増やすアイデアを実行しました。
やめる仕事の発見等で総労働時間を削減した結果、人時生産性大幅に上昇、捻出された時間を接客サービスに活用することで、客室稼働率80%以上という高水準を維持できています。
「おもてなし」が特に重要視される業界ですが、その固定概念を打破できたことが大きかったようです。トップからの強いメッセージ発信が、従業員の理解を得て、業務効率化の成功へとつながっています。
※人時生産性=(売上高ー仕入高)/労働時間数)
《事例2》株式会社ミヨシ「学生インターンシップを活用したユニークな業務効率化」
社員20名の会社が、年間200時間以上の勤務時間を削減したメーカーの事例を紹介します。
この企業が勤務時間削減のために採用したのは、学生インターンからの目線で業務効率化するというユニークなアイデアでした。
無駄な業務を削減していく上で課題となるのが、社員からの「言いにくいこと」を吸い上げられないことです。そこで、「肩書や社歴にとらわれない学生ならば、社員の本音を聞き出せるのでは?」と考え、インターンシップの学生を受け入れて、学生視点を活用した業務効率化を行いました。
具体的には、全社員のヒアリングを学生が行い、「会議運営マニュアル」が策定されました。その結果、これまで1時間かけていた会議を30分程度に削減。また、会議と平行して議事録を作成することで、会議終了後の議事録作成事務も削減できました。
「業務の標準化」が残業時間を削減させた事例
同じ業務なのに実施する社員によってかかる時間が違う、ということも多々あるのではないでしょうか。誰がやっても同じ結果になるよう、業務やスキルを標準化する取り組みも残業時間削減につながります。
《事例3》株式会社良品計画「更新し続けるマニュアルで残業時間を削減」
マニュアルに基づいた業務により残業を削減し、定時退社率93.9%を達成。加えて売上・営業利益が9年で2倍になった小売業の事例を紹介します。
マニュアルに基づいて業務を実施できるように、商品の陳列方法などの店舗業務や本部業務に係る業務実施方法などをマニュアル化し、業務標準化・見える化を実施しました。
一度マニュアルが設定されると、情報が更新されず古いままになっている企業も多いのではないでしょうか。この会社では、現場社員の意見に基づき随時更新し、現場の問題点を速やかに反映することで、定期的にマニュアルを改善・進化させています。
マニュアルに対する意見を出しやすくするため、意見に対しては必ず回答し、また小さな提案でも効果があるものは採用することで「意見提出に係る風土の醸成」に努めています。この風土が、マニュアルを常に最新のものにしているガキのようです。
《事例4》アクシアルリテイリング株式会社「現場作業の”見える化”で残業時間を削減」
スーパーマーケットで、残業時間を月平均5時間削減した事例を紹介します。
経験と慣習に依存していた現場作業を分析し、現場作業を「見える化」を進めました。そして、作業に各個人の勤務時間を割り当てた「作業割当表」を作成することで、現場のムダ・ムラ・ムリを排除していったそうです。
また、作業を習得するための訓練によりマルチタスクが可能となり、計画的な休暇取得もできるようになったそうです。

「オフィス環境や制度の整備」が残業時間を削減させた事例
会社の制度を見直すことで残業時間の削減につなげようと考える方も多いと思いますが、単純に制度を設定するだけでは、思ったような効果は出ません。現場に定着するようアイデアや対策を練っていきましょう。
《事例5》日本航空株式会社「座席をフリーアドレス化・時間制限で残業削減」
1人あたり約2時間/日の残業時間を削減できた航空会社の事例を紹介します。
固定電話を廃止して内線ができるスマホを配布、またパソコンをノートPCに置き換えたことで、場所にとらわれずに働けるよう座席を自由化しました。
そして、「18時30分以降の電話・メール禁止。17時30分以降の会議禁止。時間外労働はオフィス内の特定エリアに移動して実施。20時までには完全退社。」という全社ルールを徹底しました。
加えて、先行部署での取り組みを体験者が語るワークショップを開催し、他部署への横展開させていきました。体験者が自ら語ることで意識を改革していったこともポイントになっています。
《事例6》伊藤忠商事株式会社「朝型勤務へのシフトで残業時間の削減」
朝方勤務を推奨し、1人当たり残業時間を約15%減少させることに成功した事例を紹介します。
朝方勤務を推奨し、20時以降の時間外労働を原則禁止、22時以降の深夜勤務を禁止としました。それに伴い、朝方勤務に対して深夜勤務と同等の割増賃金を支給、8時前始業社員への軽食無料配布、社内会合などは1次会を10時で終える「110運動」を徹底しました。
その結果、制度導入後3年で残業時間も15%を削減させることに成功しました。成功のポイントは、社⾧から強いメッセージを発信するとともに、軽食無料配布や割増賃金などの “インセンティブ”を設けたことや、著名な外部講師を招いての朝セミナー開催などのアイデアにあったようです。
《事例7》株式会社千葉銀行「始・終業時刻をズラせる制度で残業時間を削減」
営業店での1人当たりの残業時間が、月平均4時間ほど削減できた銀行の事例を紹介します。
仕事と生活のバランスを図りながら効率的に働く職場環境を整備していくため、1日の勤務時間を変更せず、始・終業時刻を15分単位でズラして勤務することができる「セレクト勤務制度」を導入しました。
ポイントは手続きを「前日に支店⾧の承諾を得ればセレクト勤務可能」というな簡易なものにしたことです。セレクト勤務の導入などの改革により、1人当たり月4時間の残業削減を実現できています。
どうしても残業時間を削減しきれない時の対策は?
- 良いアイデアが出たが、人手不足で安定的に実行できない。
- 対策を実行したが、なかなか業務効率化が図れない。
- 会社が急成長していて、そもそも業務量の方が圧倒的に多い。
など、どうしても残業時間を削減できないというケースもあるかもしれません。そんな時は、社外に「アウトソーシング」することも検討してみてはいかがでしょうか。
オススメの方法としては、業務を丸々アウトソーシングするのでなく、コアとなる業務は自分たちの業務として残し、自分たちがやらなくても良い「ノンコア業務」をアウトソーシングする方法です。banso.にご相談ください。

残業時間の削減対策は、事例を参考に自社に合った業務効率化を考える。
様々な企業の残業時間の削減事例をご紹介しました。
アイデアや対策の方法をそのまま導入しても、一気に業務効率化がされるわけではありません。社員の意識が変わらず、現場が付いてこないケースも考えられます。また「ユニークな取り組みをしたい!」と面白さの観点から入りすぎてしまうと、思ったような効果が得られないことも。事例を参考に、自社に合うようにアレンジして導入するなど、検討してみてはいかがでしょうか。
そして、どうしても解決できない場合は、アウトソーシングを用いて、社内で実施する業務量を削減するのもオススメです。