リーダーシップは6種類。それぞれの特徴や高める方法とは

お役立ち記事 2020.07.16
リーダーシップの特徴や高める方法


個人やチームを動かす能力のことを指す「リーダーシップ」。「リーダーシップにはどのような種類があるのか」「どのようにチームの成果を最大化していくか」などを知りたいチームリーダーの方もいるのではないでしょうか。今回は、リーダーシップの種類やスタイル、リーダーシップを発揮するために必要なこと、リーダーシップを高める方法などについて紹介します。

リーダーシップとは人を動かす能力

リーダーシップとは、「指導力」や「統率力」といった、「目標達成のために個人やチームを動かす能力」を指します。「行動力」や「影響力」など、生まれ持った才能のある人やカリスマ性のある人がリーダーシップを発揮できるというイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。

しかし近年では、後天的に身に付けたり、発揮したりすることができるという考え方が主流となっています。つまり、「誰にでもリーダーシップを発揮できる」「誰にでも能力の素質がある」ということです。

リーダーシップとマネジメントの違い

「リーダーシップ」と混同されやすいのが、「マネジメント」です。マネジメントとは、目標を達成するための手段を決め、管理する能力のこと。

リーダーシップは他者に対する行動・影響力であるのに対し、マネジメントは物事を現実的・短期的に成し遂げる能力のことを指します。


6種類のリーダーシップとその特徴

アメリカの心理科学者であるダニエル・ゴールマンは、リーダーシップには6つの種類があると提唱しました。

①ビジョン型リーダーシップ
②コーチ型リーダーシップ
③関係重視型リーダーシップ
④民主型リーダーシップ
⑤ペースセッター型リーダーシップ
⑥強制型リーダーシップ


種類①:ビジョン型リーダーシップ

ビジョン型リーダーシップは、企業が目指す”ミッション”や”ビジョン”を明確に示し、進むべき方向に導くタイプです。このタイプのリーダーは、ゴールは示すものの、目標達成までの手段や工程はメンバーに委ねます。

 

メリット

ミッションやビジョンなどの方向性を明確に伝えるリーダーのため、同じ夢や理想を持つメンバーに、「参加したい」と思わせる力があります。

また、目標までの過程は、リーダーが補佐役に徹してメンバー内で決めるため、メンバーの自立心や帰属意識が高まるでしょう。

デメリット

リーダーが示すビジョンにメンバーが疑問や不信感を持つ場合や、リーダーの考えが揺らぐ場合に、効果が発揮しにくいとされています。

種類②:コーチ型リーダーシップ

コーチ型リーダーシップは、リーダーがメンバーと1対1の関係性を築くことで、個人の目標をサポートをするタイプです。高いモチベーションを持つメンバーに対して効果的だとされています。

メリット

メンバーの性格や特徴、長所短所といった個性を把握しながら、目標達成へのサポートができます。そのため、メンバーの成長を最大限に伸ばせます。

デメリット

リーダーがメンバー一人ひとりと話し合うことで進めていくため、短期的なプロジェクトには向いていません。また、やる気のないメンバーには、時間を要する点がデメリットとなります。リーダーに十分な経験や洞察力・コミュニケーション能力が求められるでしょう。

種類③:関係重視型リーダーシップ

関係重視型リーダーシップは、メンバーと同じ位置に立ち、信頼関係を重視しながら進めるタイプです。一度崩れてしまった人間関係や、組織全体のモラルを高めたい時に効果的とされています。

メリット

友好的な関係を保つことが得意なリーダーのため、現場の雰囲気を和らげたり、メンバーとの信頼関係を修復したりすることが可能です。

デメリット

人間関係を重視するあまり、目標や改善を後回しにする傾向があります。また、対立を避けようと、リーダーも消極的になってしまう可能性があるため、注意が必要です。

種類④:民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、メンバーの意見を組織内の活動に反映していくタイプです。組織全体の意見を受け入れるため、大規模な組織のリーダーシップに対応できるとされています。

メリット

各メンバーの提案や意見を聞き入れることができるため、新しいアイディアが生まれやすいと言えます。意見を受け入れてもらえることから、メンバー全体のモチベーションアップも望めます。

デメリット

多くの意見が集まることで、結論を出すのに時間がかかることもあります。そのため、緊急時の決断が難しいことがあるでしょう。

種類⑤:ペースセッター型リーダーシップ

ペースセッター型リーダーシップは、リーダーが率先して仕事を進め手本となることで、メンバーのパフォーマンス向上へ働きかけるタイプです。実力が重視された職場の場合や優れた実力者が揃っている場合、メンバー間のモチベーションが高い場合に効果を発揮しやすいとされています。

メリット

メンバーに手本を示すことで、目標に対する成功ビジョンを描くことができます。

デメリット

リーダーは自分と同じレベルを求めてしまう傾向があり、人によってはモチベーションが低下しまうこともあるでしょう。リーダーが1人で仕事を背負うことになりやすいため、適度にメンバーに仕事を任せるよう心がけるとよいでしょう。

種類⑥:強制型リーダーシップ

強制型リーダーシップとは、権力や圧力などの強制力でメンバーを動かすタイプです。災害時など危機的な状況の場合に、効果を発揮しやすいでしょう。

メリット

リーダーによる判断のみで行動できるため、素早い決断が必要な時に判断しやすいと言えます。

デメリット

全て指示がリーダーから出されるため、メンバーの成長や自立心は育ちにくいと考えられます。常にこのタイプのリーダーでいるのではなく、状況に応じて使い分けると効果的でしょう。


リーダーシップのスタイル

ドイツ生まれの心理学者クルト・レヴィン指導のもと、アイオワ大学の研究ではリーダーシップスタイルを「専制型」「民主型」「放任型」3つに分けて提唱しました。詳しく見ていきましょう。

①専制型リーダーシップ
②民主型リーダーシップ
③放任型リーダーシップ 


スタイル①:専制型リーダーシップ

専属型リーダーシップは、リーダーが手段や工程など全ての行動を明確に指示するスタイルです。メンバーは「管理されている」と感じやすいため、自立した組織を作るには向かない可能性があります。しかし、メンバーの積極性や能力が低い場合や、失敗できないプロジェクトに挑む際には効果的だとされています。

スタイル②:民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、メンバー同士で意見を出し合い考えを1つにしていき、リーダーはサポート役にまわるスタイルです。リーダーとメンバーが同じ目線に立って考え、目標や役割分担もチーム全体で決めていきます。短期的なプロジェクトなどすぐに成果を求める場面には向きませんが、メンバーの積極性や経験が積まれるため、一体感のある組織になるでしょう。

スタイル③:放任型リーダーシップ

放任型リーダーシップは、リーダーは干渉せずにメンバーのみで物事を決定・遂行していくスタイルです。リーダーの干渉がないことから、意見がまとまらないことやメンバーのモチベーション低下による脱落があるかもしれません。しかし、メンバーの個性やアイディアが重宝され、経験により成長にもつながるため、全員がリーダーシップを発揮できる組織にもなり得るでしょう。


リーダーシップ発揮に必要なこと

リーダーシップを発揮していくためには、どのようなことがリーダーに求められるのでしょうか。リーダーシップを発揮する際に必要なことを紹介します。

目標設定力

リーダーシップを発揮するためには、組織やチームにおける目標を明確に定める必要があります。組織やチーム全体の方向性を一致させるためにも、一貫性のある目標設定が求められるでしょう。日頃の業務の中で、個人の「目標設定」「目標達成のための行動」を繰り返すことで、組織やチームといったより大きな目標設定がしやすくなります。

絶対的な信念と行動力

リーダーシップとは、「自分の信念を持って行動できること」とも言えます。組織やチームの目標達成には、上司など誰かの「指示を聞いて仕事をする」という考えではなく、「自分にどのようなことができるか」と常に考えながら関わることが重要です。それにより、主体的に行動できるようになるでしょう。

コミュニケーション能力

リーダーシップに長けている人は、コミュニケーション能力が高いとされています。「人の話を聞く」「異なる意見も受け入れる」などといった人との関係を重視するだけでなく、「自分の気持ちを相手に伝える」といった力も必要となるでしょう。

対応力

目標達成に向けて動く中で、達成が難しいときや計画通りにいかないときもあるでしょう。そのため、リーダーシップには、課題を見つけて解決する対応力が求められます。「問題の発見」「課題の特定」「解決策の提示」などが必要となるでしょう。

判断力と決断力

組織やチームの今後を左右するような大きな課題があるかもしれません。そのようなとき、リーダーには状況に応じた的確な判断や決断が求められます。自分が行った決断に対し、不利な場合でも冷静に対処できるかや責任を持って対応できるかが、身に付けたい能力と言えるでしょう。


リーダーシップ能力を高めるには

リーダーシップ能力は、さまざまな方法で高めることができます。リーダーシップ能力を高めるための方法を見ていきましょう。

生活のセルフマネジメントを行う

リーダーシップ能力には、目標や進捗といった管理能力も含まれます。仕事のみに限らず、日々の生活を送る中で目標を立て、「達成のための行動」や「課題の解決」を繰り返すことで、徹底した自己管理ができるようになります。自己管理能力がつくことで他者を動かすマネジメント力も備わり、リーダーシップ能力が高まっていくでしょう。

関係構築能力を高める

人と人の間に立ちリーダーシップを発揮する人には、コミュニケーション能力は不可欠と言えるでしょう。一方的に「話を聞く」「指示を伝える」だけでなく、「相手の考えを聞いて一度受け止める」ことや「的確な指示、アドバイスを示す」ことが大切です。チームの一人ひとりと信頼関係を築いていけるよう、話を聞く際は相手のペースや感情の起伏に合わせるなど工夫することで、関係構築能力が高まるでしょう。

必要なスキルを磨く

リーダーシップを発揮するためには、チーム全体を促したり、一人ひとりを動機づけたりといったスキルが必要です。リーダーシップを高めるのに役立つとされるスキルを紹介します。

ファシリテーション

ファシリテーションとは、中立的な立場で支援しながら、チーム活動を円滑に進め成果を最大化すること。メンバー同士で意見のぶつかりあいや違いを知らせていくことなども、チームにおけるリーダーの特長と言えます。チーム一人ひとりの思いや意見を受け止め、能力を引き出せるようなファシリテーションのスキルを磨くことで、リーダーシップ能力を高められるでしょう。

コーチング

コーチングスキルとは、メンバーの能力や可能性を引き出し、自発的な問題解決を促すことを意味するコミュニケーションスキルの1つです。ファシリテーションは「チーム」に対して行うものですが、コーチングは「個人」に対して行います。自ら考えて行動できるリーダーを作り出すためのリーダーシップスキルとも言えるでしょう。チームメンバーのフォローやサポートをするコーチングスキルを磨くことで、リーダーシップ能力を高める効果が期待できます。



リーダーシップを身に付けて、組織やチームの一体感を高めよう

個人やチームを率先して引っ張っていく「リーダーシップ」は、先天的な能力だけでなく、後から身に付けられるスキルでもあります。自分がリーダーとして引っ張っていく時は、「行動力」や「対応力」など、必要となる力を意識してリーダーシップを発揮していくとよいかもしれません。
また、さらにリーダーシップ能力を高める方法として、「セルフマネジメントを行う」ことや「関係構築力を高める」ことなどが挙げられます。よりチームや組織の一体感が増すよう、リーダーシップ能力を高めてみてはいかがでしょうか。

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