間接部門とは?直接部門との違いや役割、生産性向上のための目標設定

お役立ち記事 2020.07.13
間接部門とは


「企業の売上に間接的に影響を与える業務を行う部門」である、間接部門。間接部門は一般的に、企業の売上に直結する直接部門を支援したり、事業運営を円滑にしたりする役割を担っています。
 
「間接部門について詳しく知りたい」「間接部門の効率化がなかなか進まない」といった経営者やマネージャーの方も多いのではないでしょうか。今回は、間接部門と直接部門の違い、間接部門の役割、置かれている状況、生産性向上のための目標設定などについて、紹介します。

間接部門とは

企業には大きく分けて、「直接部門」と「間接部門」の2つの部門があります。企業にとって間接部門とは、どのような部門のことを指すのでしょうか。間接部門の概要や直接部門との違い、直間比率について、紹介します。
 

間接部門とは、企業の業績に間接的に影響を与える業務を行う部門のこと

「間接部門」とは、会社の売上に間接的に影響を与える業務を行う部門のこと。「バックオフィス」や「管理部門」と呼ばれることもあります。間接部門の例としては、人事や総務、経理、法務、品質管理、カスタマーサポートなどの部門が挙げられます。
 

直接部門との違い

直接部門とは、営業や開発、製造といった企業の売上に直接影響を与える部門のこと。直接部門と間接部門のどちらも企業にとって必要不可欠ですが、業務内容や目標設定の方法などが異なります
 
直接部門の業務内容は、「新製品の開発・製造」「自社の商品・サービスの販売」など、企業の売上に直結する業務が中心です。一方、間接部門の主な業務内容は、「直接部門の業務支援」や「職場環境の整備」など、企業の売上には直結しない業務となっています。そのため、直接部門は「花形部門」、間接部門は「屋台骨の部門」と称されることもあります。
 
また、どのような目標を設定するのかも異なります。直接部門では「製造数」「販売数」「新規顧客獲得数」といった数値できる「定量的」な目標を立てやすいのに対し、間接部門では「●●業務を1人でできるようにする」「▲▲業務をミスなく行う」といった数値化できない「定性的」な目標になりやすいという違いがあります。
 

直間比率とは

「直間比率」とは、直接部門と間接部門の比率のこと。「どちらかの部門に人数が偏り過ぎていないか」を検証する際の基準として使われます。理想とされる直間比率は、企業の規模や扱っている商品・サービスの種類によって異なります。あくまで1つの目安ですが、直接部門と間接部門の比率がが「7対3」~「9対1」になっているかどうかを確認すると良いでしょう。
 

間接部門の役割

間接部門には、人事や総務、経理などが含まれますが、その役割は部門によってさまざまです。間接部門の各部署の主な役割を表にまとめました。
 

部門名主な役割
人事部門●社員の採用活動
●給与体系の策定
●人事評価制度の策定
●社内研修の企画・実施 など
総務部門●備品の管理
●空調や照明などのオフィス管理
●株主総会の企画・運営
●従業員の冠婚葬祭時の対応 など
経理部門●経費の清算
●給与の計算
●銀行への入出金
●決算書の作成 など
法務部門●他社との契約書の作成やリーガルチェック
●紛争訴訟対応
●社内規定の策定
●コンプライアンス対応 など
品質管理部門●製品の品質管理
●品質改善に向けた提案 など
カスタマーサポート部門●顧客からの問い合わせ対応
●クレーム対応 など

 このように部署ごとに役割はさまざまですが、間接部門に共通する役割もあります。間接部門に共通する役割について、紹介します。
 

企業経営を支える基盤としての役割

間接部門の各部署の業務には、「直接部門を支援する」という共通点があります。もし間接部門がなかったら、「社員の採用・教育が滞る」「資金調達が困難になる」「契約書の不備に気付けない」といった問題が起こるでしょう。そのため、間接部門は企業経営を支える基盤としての役割を担っているとされています。
 

顧客満足度を向上させる役割

新しい商品・サービスを販売したとしても、品質や顧客対応に問題があると、消費者からは支持されにくいでしょう。企業の業績を改善していくためには、顧客満足度の向上が不可欠です。間接部門があることにより、「商品の品質を常にチェックする」「顧客の声を新商品・サービスに活かす」といった対応が可能になります。そのため、間接部門には顧客満足度を向上させる役割があるとされています。
 

コスト削減案を考える役割

企業の生産性を高めていくためには、業務の効率化の他、コスト削減も必要となります。直接部門の業務を日々支援している間接部門だからこそ、「直接部門にはどのようなコストがかかっているのか」「どうすればコストを削減出来るか」に気付ける可能性があります。そのため、間接部門にはコスト削減案を考える役割があるとされています。コスト削減案の例としては、原価率の削減案、出張旅費の削減案などが挙げられます。
 
間接部門にはこのような重要な役割があります。企業の売上には直結しない部門であるものの、直接部門と同様に、企業にとって重要な部門だと言えるでしょう。
 

間接部門が置かれている状況

企業にとって必要不可欠な間接部門ですが、その置かれている状況は厳しいようです。間接部門が置かれている状況について、紹介します。
 

直接部門からの理解が得られにくい

コスト削減案や業務改善案を考えることは間接部門の重要な役割の一つです。しかし、「営業先への移動ルートを最短ルートから最安ルートに変更する」「通勤手当の支給額を、1カ月分の定期代の支給から、6カ月分の定期代の支給に変更する」「経費精算の書面や手続きを変更する」など、その内容によっては、直接部門からの理解を得られにくいこともあるでしょう。そのため、「間接部門なのに偉そう」「間接部門はいらないのでは?」といったように直接部門からの反発を招く可能性があります。
 

生産性の測定や評価がしづらい

「製造数」「販売数」といった明確な指標がある直接部門とは異なり、間接部門は業務の特性上、「労働時間」以外の指標では生産性を測りにくい傾向にあります。また、企業の売上に直結しないこともあり、直接部門のような「月の目標製造数をクリアしたら加点」「新サービスを●社以上に販売したら加点」といった加点評価がしづらく、「ミスをした」「期限を守れなかった」という減点評価になりがちです。それにより、ミスや期限の遅れを防ごうとする意識が働き、業務改革に取り組みにくくなる可能性があります。
 

業務削減の対象となりやすい

企業を取り巻く環境の変化やAI・IoTの浸透により、業務の合理化・最適化の動きが進んでいます。そうした中、定型的・画一的な業務が多い間接部門は、業務削減の対象になりやすいとされています。実際、自社の業務を外部に委託する「アウトソーシング」や間接部門のサービスを複数の企業でシェアする「シェアードサービス」などを利用し、間接部門の業務を削減している企業もあるようです。担当する業務が減ることにより、間接部門の従業員のモチベーション低下も懸念されています。
 

リストラの対象になりやすい

企業の売上に直結しない間接部門は、「利益を生まずに単にコストになる部門」を意味するコストセンターと呼ばれることもあります。企業の業績が良いときには問題にならないかもしれませんが、業績が悪化した際には、直接部門や経営陣から「間接部門なのに、人数が多すぎ」「不必要ではないけれど、もっと人数を減らしても良いのでは」と思われることもあるでしょう。企業内での優先度が直接部門より低くなりがちなこともあり、リストラの対象になりやすいとされています。実際、業績が悪化した際に間接部門の大規模なリストラを行った企業も少なくないようです。
 

間接部門の生産性向上は必須

企業の業績を向上させるためには、全社を挙げて生産性を高めていくことが重要です。そのためには、間接部門の生産性向上が必須となります。間接部門の生産性を向上させるためには、まず目標設定から改める必要があります。間接部門の目標設定と評価のあるべき姿につて、見ていきましょう。
 

間接部門の目標・KPI設定

生産性を向上させるためには、従業員一人ひとりが明確な目標に向かって、日々業務に励むことが重要です。そのため、間接部門も、直接部門と同様、定量的な目標設定が望ましいとされています。定量的な目標を設定すれば、目標に対する達成状況の指標であるKPIとして、定期的に状況を確認することが出来ます。間接部門の目標・KPI設定の例をいくつか紹介します。
 
間接部門の目標・KPI設定の例

●ミスの発生率を、前年度より▲%下げる
●経費を、前年度より■%削減する
●毎月発生する■■業務の作業時間を、月平均で◆時間短縮する
●残業時間を月▼時間以内にする
●業務マニュアルを、▲月までに作成する 

 
間接部門の目標・KPIを設定する際には、「何%」「何時間」といった基準を設けると良いでしょう。どうしても定量化が難しい場合には、「いつまでに、何をする」「いつまでに、どういう状態にする」といったように、定性的な目標に期限を設ける方法がオススメです。
 

間接部門の評価

間接部門で働く従業員のモチベーションを維持・向上させるには、評価方法の見直しが必要となることもあるでしょう。減点評価ではなく、加点評価ができる仕組みの構築が必要です。定量的な目標・KPIに基づく客観的な評価に加え、「コミュニケーション能力」「責任感」「行動力」といった仕事への取り組み方の評価や、「●●検定1級取得」「▲▲に関する専門知識・技能の習得」といった専門性への評価を組み合わせ、多角的に評価していくことが望ましいでしょう。
 

間接部門の生産性をさらに高めるための方法

間接部門の生産性をより向上させるには、定量的な目標・KPIの設定や評価方法の見直しに加え、別の方法も検討すると良いでしょう。間接部門の生産性をさらに高めるための方法について、紹介します。
 

各種ツールの導入による業務効率の改善

間接部門の生産性をさらに向上させるためには、各種ツールの導入を検討すると良いでしょう。例として、「勤怠管理システム」「生産管理システム」「営業管理システム」といった業務管理システムや、定型的な業務をAIによって自動化するRPAなどが挙げられます。こうしたツールを活用することで業務効率が改善され、生産性の向上につながっていくでしょう。


アウトソーシングの活用によるコア業務への注力

間接部門の日々の業務は定型的なものが多いため、自社の業務を外部の企業に委託するアウトソーシングに適しているとされています。アウトソーシングを活用すれば、事務作業をしていた時間を、「採用・教育計画の策定」や「働きやすい職場にするための制度構築」などのコア業務にあてることができます。コア業務に注力することにより、業務への専門性や従業員のモチベーションが高まり、生産性向上につながるでしょう。



間接部門の生産性を高め、企業の業績改善につなげよう

企業の売上には直結しない、間接部門。しかし、「企業経営を支える基盤」や「顧客満足度を向上」といった重要な役割を担っており、企業の業績改善のためには間接部門の生産性向上が不可欠です。
 
「定量的な目標設定」や「各種ツールの導入による業務効率化」「アウトソーシングの活用によるコア業務への注力」などにより間接部門の生産性を高め、企業の業績改善につなげてみてはいかがでしょうか。

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